オフィス家具を買い替えるとき、経理の担当者から必ず聞かれるのが「これは何年で落とすのか」です。机と椅子とキャビネットは同じ年数なのか、木製と金属製で違うのか、カタログに書いてある「標準使用期間」はこの年数のことなのか。調べ始めると用語が混ざって、かえって分からなくなります。

このページでは、国税庁が定める法定耐用年数の区分をそのまま表にして示し、2026年4月に変わった少額減価償却資産の特例、そして業界団体が定める「標準使用期間」との違いを整理します。2026年10月時点の情報です。

なお、ここに書くのは一般的な制度の説明です。個別の資産をどう処理するかは、必ず顧問税理士・所轄の税務署にご確認ください。当社は税務の専門家ではありません。

オフィス家具の法定耐用年数は「器具及び備品」で決まる

オフィス家具は、減価償却資産の区分のうち「器具及び備品」の「1 家具、電気機器、ガス機器、家庭用品」に入ります。国税庁の耐用年数表(別表第一)にある区分を、オフィスでよく使うものに絞って抜き出すと次のとおりです。

細目 区分 耐用年数
事務机、事務いす、キャビネット 主として金属製のもの 15年
その他のもの 8年
応接セット 接客業用のもの 5年
その他のもの 8年
室内装飾品 主として金属製のもの 15年
その他のもの 8年
陳列だな、陳列ケース 冷凍機付・冷蔵機付のもの 6年
その他のもの 8年
じゅうたんその他の床用敷物 小売業用・接客業用・劇場用等のもの 3年
その他のもの 6年

出典:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」(器具及び備品・家具等)

ここで押さえておきたいのは、机・椅子・キャビネットは「同じ行」にまとめられているという点です。デスクだけ年数が違う、ということはありません。分かれるのは材質です。

「主として金属製のもの」をどう判定するか

15年と8年、倍近く違うので、ここの判定が実務では一番迷います。条文にあるのは「主として金属製のもの」という表現だけで、何パーセント以上といった数値基準は示されていません。

実務上は、その家具の主要な構造部分(天板・脚・本体)が金属かどうかで判断するのが一般的です。スチール脚にメラミン天板を載せたデスクは金属製として扱われることが多く、一方で無垢材や突板の天板を木製の脚で支える家具は「その他のもの」=8年になります。

判断が割れそうなものは、見積書・納品書に材質が分かる記載を残しておくと、後から説明しやすくなります。当社の製品であれば、仕様書に使用樹種と構造を明記しています。

【2026年4月改正】40万円未満なら、その年に全額経費にできる

耐用年数の話と必ずセットになるのが、中小企業者等の少額減価償却資産の特例です。これは「一定額未満の資産なら、耐用年数で分割せず、使い始めた年度に全額を損金にしてよい」という制度で、2026年(令和8年)4月1日以後に取得する資産から、上限が引き上げられました。

項目 改正前 改正後(令和8年4月1日以後の取得分)
取得価額の上限 30万円未満 40万円未満
適用対象の従業員数 500人以下 400人以下
年間の合計限度額 300万円 300万円(据え置き)
適用期限 — 令和11年3月31日まで(3年延長)

上限が10万円上がった一方で、従業員数の要件は500人以下から400人以下に狭まっています。金額だけを見て「うちも使える」と判断せず、従業員数の要件もあわせて確認してください。

年間300万円という合計の枠は変わっていません。1台35万円のデスクを即時償却するなら、同じ事業年度でこの特例を使えるのは8台までという計算になります。

10万円・20万円・40万円という3つの線引き

取得価額によって、選べる処理が変わります。改正後の考え方を1枚にまとめると次のようになります。

取得価額 主な選択肢 償却資産税
10万円未満 全額を費用処理 対象外
20万円未満 一括償却資産として3年均等償却 対象外
40万円未満 少額減価償却資産の特例で即時償却(年300万円まで) 対象
40万円以上 法定耐用年数で減価償却 対象

見落とされがちなのが右端の列です。即時償却しても、償却資産税(固定資産税)の課税対象からは外れません。一括償却資産(20万円未満の3年均等償却)は対象外なので、18万円のデスクのように両方の制度が使える価格帯では、法人税の繰り延べ効果と償却資産税のどちらを取るかという判断になります。同じ資産で両方の制度を重ねて使うことはできません。

JOIFAの「標準使用期間」は、耐用年数とは別物です

オフィス家具のカタログや取扱説明書には、「JOIFA標準使用期間」という年数が書かれていることがあります。これを法定耐用年数と同じものだと思って経理に伝えると、話がかみ合いません。まったく別の概念です。

法定耐用年数 JOIFA標準使用期間
定めている主体 国(財務省令・耐用年数省令) 一般社団法人 日本オフィス家具協会(JOIFA)
目的 税務上の費用配分 安全上の目安
何の期間か 資産の取得価額を配分する年数 経年劣化が安全な使用に影響を及ぼさない期間(製造年からの年数)
起算点 事業の用に供した日 製造年
年数 8年・15年など区分ごと 製品区分ごとに5年・8年・10年・20年の区分がある

JOIFA自身が、標準使用期間は「耐用年数、保証期間ではありません」と明記しています。日本オフィス家具協会が独自に設けた、安全に使える目安の期間です。

つまり、税務の8年が過ぎても安全に使えなくなるわけではなく、逆に標準使用期間が過ぎた製品を帳簿上まだ償却中ということもあります。この2つは独立して動きます。

木製オフィス家具の耐用年数は8年です

木を主材にしたデスク・チェア・収納は、構造の主要部分が木であれば「その他のもの」に当たり、法定耐用年数は8年になります。金属製の15年と比べると短く、その分1年あたりの償却費は大きくなります。

ここで誤解しやすいのが、「耐用年数が短い=早く壊れる」という読み方です。法定耐用年数は税務上の期間配分のルールであって、製品寿命の実測値ではありません。無垢材の家具は、天板を削り直したり脚を交換したりといった補修が効くため、帳簿から消えたあとも長く使えることが珍しくありません。

キイノクスの製品は国産木材を使った無垢・突板の家具で、いずれも「その他のもの」の区分に入ります。テーブル/デスク・収納とも同じ区分です。材質や構造について個別に確認が必要な場合は、仕様書をお送りします。

耐用年数を過ぎた家具をどうするか

償却が終わった家具は、帳簿上の価値が1円(備忘価額)になります。この状態でも資産として保有している限り償却資産税の申告対象は続くので、実際に使っていないものを置いたままにしていると、使っていない資産に税金を払うことになります。

入れ替えの際は、次の3点を先に決めておくと手戻りがありません。

  • 除却の時期:廃棄・売却した事業年度で除却損を計上します。年度をまたぐと処理が分かれます
  • 処分の方法:産業廃棄物として処理するのか、引き取りを依頼するのか
  • 新しい家具の単価:1台あたりを40万円未満に収められるかどうかで、初年度の損金額が変わります

オフィス全体の木質化を検討されている場合は、オフィスの木質化とはもあわせてご覧ください。

よくある質問

デスクと椅子で耐用年数は違いますか

違いません。国税庁の耐用年数表では「事務机、事務いす、キャビネット」が同じ細目にまとめられており、主として金属製のものが15年、その他のものが8年です。分かれるのは材質であって、家具の種類ではありません。

木製のデスクは何年で償却しますか

主要な構造部分が木であれば「その他のもの」に当たり、8年です。スチール脚に木目の天板を載せたタイプは「主として金属製のもの」として15年で扱われることが多く、判断は構造によります。

中古のオフィス家具を買った場合の耐用年数は

法定耐用年数をそのまま使うのではなく、簡便法による見積りが認められています。法定耐用年数の全部を経過した資産なら「法定耐用年数×20%」、一部経過なら「(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×20%」で計算し、1年未満の端数は切り捨て、2年に満たない場合は2年とします。詳細は税務署にご確認ください。

35万円のデスクは全額その年の経費にできますか

2026年4月1日以後に取得し、従業員400人以下などの要件を満たす中小企業者等であれば、少額減価償却資産の特例により即時償却できます。ただし年間の合計は300万円までです。2026年3月31日以前の取得分は上限が30万円未満だったため、35万円のデスクは対象外でした。

即時償却すれば償却資産税もかかりませんか

かかります。少額減価償却資産の特例で即時償却した資産も、償却資産税の申告対象です。償却資産税の対象から外れるのは、20万円未満を3年均等償却する一括償却資産のほうです。

JOIFA標準使用期間を過ぎたら買い替えが必要ですか

自動的に必要になるわけではありません。標準使用期間は、経年劣化が安全な使用に影響を及ぼさないとJOIFAが定めた目安の期間で、耐用年数でも保証期間でもありません。実際の判断は、ぐらつき・割れ・可動部の不具合といった状態の確認によります。

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参考にした一次情報

※本ページは2026年10月時点の制度にもとづく一般的な情報です。個別の税務判断については顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。